
ヘナに「収穫年」があるのをご存じですか
ヘナと聞くと、多くの方が「植物の粉なら、どこの国のものでもだいたい同じ」と思われるかもしれません。
ですが、ヘナは農作物です。産地、収穫した時期、収穫後の乾燥のしかたによって、中身は変わります。
この記事では、ヘナがどんなふうに育ち、収穫され、どんな基準で扱われているのかを、確認できる事実だけをもとにお伝えします。
ヘナはなぜ「同じに見えて同じではない」のか
ヘナはミソハギ科の植物の葉を乾燥させて粉にしたものです。植物である以上、育つ環境と収穫のタイミングで状態が変わります。
米や茶葉に収穫年や産地による違いがあるように、ヘナにも同じことが言えます。産地、収穫時期、収穫後の乾燥の丁寧さによって、色素の含有量が変わることが指摘されています(ナイアード)。
つまり「ヘナ」という一つの名前の中に、育った場所や収穫のタイミングが異なる、多様な原料が含まれているということです。
ヘナはいつ収穫されるのか
収穫は年に一度、雨季が明けたあとの短い期間だけです。この時期を逃すと、葉の質が落ちてしまいます。
ヘナの主要産地であるインド・ラジャスタン州ソジャットでは、収穫の時期になると短期間で一気に刈り取りが行われます。理由は、葉が育ちすぎることを避けるためです。
「少しでものんびりしていると、どんどん葉が大きく硬くなってしまい、大切な養分が花や実などに吸収されてしまう」とされており、養分が花や実に取られる前の、開花前の若い葉を収穫することが重視されています(みんなのヘナ)。
年に一度しか採れないという点は、ヘナが工業製品ではなく農作物であることを、そのまま表しています。
なぜソジャットがヘナの主要産地なのか
寒暖差が大きく降雨量が少ない土地で、この気候がヘナの質に関わるとされています。
インド・ラジャスタン州のソジャットは、ヘナの主要産地として知られています。「寒暖差が激しく、年間の降雨量が少ないことから、本当に質の良いヘナが育つ」とされており、乾燥した気候と昼夜の温度差が、この土地でヘナが育つ条件になっていると考えられています(みんなのヘナ)。
産地が変われば気候も土壌も変わります。同じ「ヘナ」という植物でも、育つ土地によって条件がまったく異なるということです。
収穫後の乾燥も、ヘナの質に関わるのか
関わります。乾燥のしかたも、色素の含有量に影響する要素として挙げられています。
ヘナは刈り取って終わりではありません。葉を乾燥させて粉にする工程を経て、私たちが使う製品になります。産地・収穫時期に加えて、この乾燥の丁寧さも色素含有量に関わる要素として指摘されています(ナイアード)。
同じ産地、同じ時期に収穫した葉であっても、その後の扱い方次第で仕上がりが変わりうるということです。
インドには、ヘナの国家規格があるのか
あります。ただしこれは事業者が任意で採用する規格で、法律で強制されているものではありません。
インド規格局(BIS)が定める規格に、IS 11142:2023「Henna Mehendi Powder — Specification」があります。2023年10月20日に発行された規格で、担当委員会はPCD 19。以前の IS 11142:1984 と IS 7159:1984 を統合・改訂したものです(出典)。
何が定められているのか
純度によって3つに区分され、それぞれにローソン含有量の下限値が定められています。
- Type 1 — 純ヘナ、無添加。ローソン含有量 1.0%以上
- Type 2 — 天然成分配合、防腐剤なし。ローソン含有量 0.9%以上
- Type 3 — 天然成分配合、防腐剤あり。ローソン含有量 0.85%以上
このほか、水分・揮発分(Type 1・2は10%以下、Type 3は12%以下)、冷水抽出物25%以上、粗繊維15%以下といった基準もあります。
さらに Annex G には、合成染料・パラフェニレンジアミン・パラアミノフェノールが混入していないかを、薄層クロマトグラフィーで調べる試験項目があります。これは「入っているかどうか」を調べる定性試験であり、含有量の上限を数値で定めたものではありません。
なお、この規格に重金属や微生物の基準は含まれていません。
この規格をどう受け取ればいいのか
規格の存在と、個々の製品の品質は別の話です。
IS 11142:2023 は任意規格です。すべてのヘナ製品がこの基準を満たしているとは限りません。規格が存在すること自体は事実ですが、規格があるから安全だとか高品質だという話にはなりません。ある製品がこの基準に適合しているかどうかは、製品ごとに確認が必要なことです。
ソジャットのヘナは、GI登録されているのか
されています。ただしGIは産地との結びつきを示す制度で、品質そのものを政府が保証する制度ではありません。
ソジャット産ヘナは、登録番号628としてGI(地理的表示)登録されています。登録日は2021年9月14日、申請者はメヘンディ商人組合(Mehndi Vyapar Sangh Samiti)、対象地域はラジャスタン州パーリー県ソジャット周辺、農産物クラス31に分類されています(インド知的財産庁)。
GIは「この産品はこの土地と結びついた特性を持つ」ことを示す制度です。「この土地で作られたものだから高品質だと国が保証している」という意味ではありません。この違いは、正確に理解しておきたいところです。
結局、何を確認すればいいのか
「どこの産地の、いつ収穫された葉なのか」です。ヘナが農作物である以上、この情報が仕上がりの手がかりになります。
ここまで見てきたように、ヘナは産地・収穫時期・乾燥によって状態が変わる農作物です。インドには国家規格やGI登録という制度がありますが、いずれも「これを選べば品質が保証される」という単純な話ではありません。
だからこそ、使っているヘナがどこの、いつの葉なのかを確認することに意味があります。
それでも、毎年まったく同じにはならない
同じ産地から仕入れていても、その年の気候によって葉の状態は変わります。農作物である以上、避けられないことです。
同じソジャットという産地から仕入れていても、その年の気候や生育状況によって、粉の状態が毎年まったく同じになるとは限りません。産地やブランドを問わず、ヘナという植物そのものが持つ性質です。
だから、その年の粉を見て判断する人が必要になります。
よくあるご質問
ヘナはどのブランドを選んでも同じですか。
同じではないと考えられます。ヘナは農作物であり、産地・収穫時期・収穫後の乾燥によって状態が変わることが指摘されています。同じ「ヘナ」という名前でも、中身は一様ではありません。
インドの国家規格に適合していれば、品質は保証されますか。
規格の存在そのものが品質を保証するわけではありません。IS 11142:2023 は任意規格であり、すべての製品がこの基準を満たしているとは限りません。適合しているかどうかは、製品ごとに確認が必要です。
GI登録されているヘナは、品質が高いということですか。
GI登録は「その産地と結びついた特性を持つ産品である」ことを示す制度で、品質を保証する制度ではありません。ソジャット産ヘナはGI登録されていますが、これは産地の証明であって、品質保証の証明ではありません。
&salon Henna について
仙台市青葉区国分町にある、ヘナ専門の美容室です。インド・ラジャスタン州ソジャットの、開花前の新葉だけを使っています。ジアミンもアルカリ剤も使いません。
ヘナは農作物です。同じ産地でも、年によって出来が違います。だからその年の粉の状態を見ながら配合を決めています。施術は認定ヘナリストが、カウンセリングから仕上げまで担当します。
はじめての方ははじめての方へを、ご不明な点はよくあるご質問をご覧ください。&salon Henna についてもあわせてどうぞ。