
ヘアカラーの白髪染めからヘナに変えるとき、髪に何が起きるか
長年アルカリカラーで白髪染めを続けてきた方がヘナに切り替えるとき、いちばん不安なのは「切り替えた瞬間に、思っていた色にならなかったらどうしよう」ということだと思います。
結論からお伝えします。ヘナへの移行は、1回の施術では終わりません。
この記事では、移行の途中で実際に何が起きるかを、都合の悪いことも含めて先に書きます。ご来店後に「聞いていなかった」ということがないように、あらかじめ知っておいていただきたい内容です。
ヘナへの移行は、1回では終わりません
移行には複数回の施術と、数ヶ月単位の期間が必要です。一度で全体が均一な色になるとは考えないでください。
切り替える方の多くは、「次回来店したら、もう色ムラのない状態になっている」と期待されます。
しかし実際には、既染部(これまでカラーで染めていた部分)と、新しく生えてきた部分(新生部)、もともとの黒髪部分とで、染まり方も色の出方も異なります。この差が目に見えなくなるまでには、複数回の施術と、髪が伸びる時間が必要です。
ヘアカラーとヘナは、そもそも染まり方が違います
アルカリカラーは髪を脱色してから染めますが、ヘナには脱色作用がありません。だから黒髪はほとんど変わりません。
アルカリカラー(酸化染毛剤)は、髪の中のメラニン色素を脱色したうえで、人工の染料を定着させる仕組みです。そのため、地毛よりも明るい色に染められます。
一方でヘナには脱色の作用がありません。ヘナに含まれる色素(ローソン)が、髪のケラチンというタンパク質に結合するだけです。そのため黒髪の色は大きく変わりません。染まって見えているのは、主に白髪の部分です(ナイアード)。
ヘナ単体では赤褐色からオレンジに染まります。インディゴ(ナンバンアイ/木藍の葉)を2度目に重ねると青系の色素が加わり、ダークブラウンから黒に近い色に寄せられます。
なお、ヘナとインディゴを濡れたまま同時に重ねると色落ちしやすいため、当店では1度目を洗い流してシャンプーしたあと、2度目を塗ります(マハラニヘナ)。
移行1回目の施術で、何が見えるか
明るい既染部・変わらない黒髪部・染まっていない新生部の、3色に分かれて見えることがあります。
すでに明るくカラーリングしている髪をヘナ100%で染めると、カラー部分は明るいトーンのまま残ります。黒髪部分はほとんど変わりません。
そこに、施術後に新しく伸びてくる部分は染まっていないため、時間が経つほど既染部との境目が目立ちやすくなります(みんなのヘナ)。
この3色が同時に見える状態は、移行の途中経過として起こり得るものです。1回で解消しようとせず、段階を踏んで揃えていく前提で臨んでいただければと思います。
色は、どうやって揃えていくのか
インディゴ配合の暗めのヘナでトーンダウンさせながら、既染部を伸ばして切ることで差を詰めていきます。
明るい既染部を落ち着かせる方法として、インディゴを配合した暗めのヘナで段階的にトーンダウンさせるやり方があります(みんなのヘナ)。
あわせて、ヘナでの施術を重ねながら毛先を少しずつカットし、アルカリカラーの履歴が残る部分を物理的に減らしていく方法も並行します。
どちらも一度では終わりません。数ヶ月かけて全体を近づけていく作業になります。
ブリーチをしたことがある髪は、どうなるか
ヘナで染めた髪をブリーチしても、ヘナの色素は抜けません。ブリーチした部分だけ色が残り、ツートンになることがあります。
ヘナで染めた髪をブリーチすると、メラニンは脱色されますが、ケラチンと結合したヘナの色素(ローソン)は脱色されずに残ります。ナイアードは自社スタッフの実例としてこの現象を紹介しています(ナイアード)。
結果として、ブリーチした部分にだけヘナの色が残り、ツートンに見えることがあります。
なお「ヘナのあとにブリーチすると緑に変色する」という説明を掲げるブログも複数見られますが、メーカーの公式情報での裏づけは確認できていません。断定できることではないため、分かっていないこととしてお伝えします。
ブリーチ履歴のある髪は、ヘナに切り替えたあとに元の状態へ戻すのが難しい場合があります。ブリーチとヘナを繰り返すご予定がある方は、事前にご相談ください。
白髪の割合で、見え方はここまで変わります
白髪が少ないほど赤みは目立たず、白髪が多いほど全体がオレンジがかった印象になります。
目安はこうです。
- 白髪率1割程度 — 赤みは近くで見ないと分かりません
- 白髪率3割程度 — 全体的に赤茶が目立ち始めます
- 白髪率5割以上 — 全体がオレンジ色になり、モード感のある見た目になります
白髪が少ない方の場合、白髪特有の「キラッと光って目立つ」部分が赤茶に染まることで、かえって目立たなくなります。
ご自身の白髪の割合によって仕上がりの印象が変わることを、事前に知っておいていただきたい点です。
染めた直後の色で、判断しないでください
染めた直後がいちばん明るい状態です。空気に触れて酸化することで、1週間ほどかけて色が濃く深くなっていきます。
これはヘナの色素が酸化して発色する性質によるもので、切ったりんごの断面が変色するのと同じ反応です(Ancient Sunrise)。
色の変化がいちばん大きいのは施術後の2週間です。
施術直後、帰り道の鏡で「思っていた色と違う」と感じても、そこはまだ最終的な色ではありません。判断は数日置いてからにしていただければと思います。
施術直後のきしみは、ダメージではありません
キューティクルが一時的にふくらんでいる状態です。数日から1週間で戻ります。
ヘナペーストの水分と酸性物質が髪の外層に浸透すると、キューティクルが一時的に膨潤します。お風呂で指がふやけるのに近い現象です(Ancient Sunrise)。
この状態は数日から1週間ほどで落ち着きます。施術直後にきしみを感じても、それだけで髪に問題が起きているわけではありません。
パーマ・縮毛矯正を続けたい方へ
ヘナで染めた髪にもパーマはかけられますが、かかりにくくなります。回数を重ねるほど、その傾向は強まります。
ヘナの染料は髪の表面に染着するため、パーマ液が内部へ浸透するのを妨げます。かかりにくい場合には、熱を使うデジタルパーマなどの技法が有効とされています。
なお、「ヘナのあとにアルカリカラーが入りにくくなるかどうか」については、明確なメカニズムを示した情報源が見つかっておらず、分かっていません。
パーマや縮毛矯正を今後も続けたい方は、切り替える前にご相談ください。
どのくらいの間隔で通えばいいのか
3〜4週間に1回が最も一般的なペースです。白髪が少ない方は1〜2ヶ月に1回でも足ります。
髪の伸びる速さには個人差がありますが、1ヶ月に1〜1.5cmほど伸びます。白髪が2cm程度目立ってくると、多くの方が気になり始めます(ナイアード)。
この伸びるペースに合わせると、3〜4週間に1回のご来店がもっとも一般的です。白髪の量が少ない方であれば、1〜2ヶ月に1回のペースでも対応できます。
よくあるご質問
移行には、どれくらいの回数がかかりますか。
髪の伸びる速さや白髪の割合、既染部の長さによって差があるため、一律の回数はお伝えできません。既染部を切りながら整えていく都合上、複数回の施術と数ヶ月単位の期間を見込んでおいてください。
1回目で満足のいく色にならなかったら、どうすればいいですか。
既染部・黒髪部・新生部の3色に分かれて見えるのは、移行の途中経過として起こり得ることです。インディゴでのトーンダウンや、伸ばしてカットする方法を組み合わせながら、次回以降で近づけていきます。
ブリーチをしたことがある髪でも、切り替えられますか。
切り替えは可能です。ただしヘナの色素はブリーチしても抜けないため、ブリーチした部分にだけ色が残り、ツートンになることがあります。元に戻すのが難しい場合もありますので、事前にご相談ください。
施術当日の色で、仕上がりを判断してもいいですか。
おすすめしません。染めた直後がいちばん明るく、酸化によって1週間ほどかけて色が深くなっていきます。最終的な色合いは、数日経ってからご確認ください。
&salon Henna について
仙台市青葉区国分町にある、ヘナ専門の美容室です。インド・ラジャスタン州ソジャットの、開花前の新葉だけを使っています。ジアミンもアルカリ剤も使いません。
ヘナは農作物です。同じ産地でも、年によって出来が違います。だからその年の粉の状態を見ながら配合を決めています。施術は認定ヘナリストが、カウンセリングから仕上げまで担当します。
はじめての方ははじめての方へを、ご不明な点はよくあるご質問をご覧ください。&salon Henna についてもあわせてどうぞ。