ヘナカラーとは
ヘナは、インドやエジプトで古くから使われてきた植物です。日本では白髪染めとして知られていますが、ふつうのヘアカラーとは仕組みがまったく違います。
このページでは、ヘナが髪の上で何をしているのかを説明します。
ヘナカラーは、髪の上で何をしているのか
ヘナに含まれる色素が、髪のタンパク質と結びついて残ります。髪の内部を変えているわけではありません。
ヘナの主な色素はローソン(2-hydroxy-1,4-naphthoquinone)といいます。この色素が、髪や皮膚をつくっているケラチンというタンパク質と結合します。
結合のしかたについては、説明が2通りあります。化学の文献ではマイケル付加反応による共有結合とされ、国内のヘナメーカーはイオン結合と説明しています。共有結合とイオン結合は別のものですが、いずれにしても「色素が髪の表面に結びついて残る」という点は共通しています。


なぜヘナは髪を明るくできないのか
ヘナには脱色の働きがないからです。色を抜かずに、色を乗せるだけです。
ヘアカラー(アルカリカラー)は、まず髪の中のメラニン色素を脱色します。そのうえで人工の染料を入れるので、もとの髪より明るい色にできます。
ヘナにはこの脱色の工程がありません。色素がケラチンに結びつくだけなので、もともと色のある黒髪はほとんど変わりません。染まって見えるのは、色素を持たない白髪の部分です。
つまりヘナは、白髪を目立たなくするための染め方です。全体の明るさを変える用途には向いていません。
染まる色は赤褐色。暗くするにはインディゴを混ぜます
ヘナ単体では赤褐色からオレンジに染まります。落ち着かせたい場合はインディゴを配合します。
インディゴはナンバンアイ(木藍)というマメ科の植物の葉です。青系の色素を持っています。ヘナの赤褐色にこの青を重ねることで、ダークブラウンから黒に近い色まで寄せられます。
しっかり暗くしたい場合は、当店では2度染め(追加ヘナカラー)という方法をとります。1度目を洗い流してシャンプーしたあと、もう一度染める施術です。2度目はヘナ、ヘナ+インディゴ、インディゴの3つからお選びいただけます。インディゴを選ぶと、黒髪に近い仕上がりになります。施術時間は1時間ほど長くなります。
なお、白髪の量によって見え方は大きく変わります。白髪が1割ほどなら赤みは近くで見ないと分かりませんが、5割以上になると全体がオレンジ寄りに見えます。


色が1週間かけて変わるのはなぜか
ヘナの色素は空気に触れて酸化することで発色が進むためです。染めた直後がいちばん明るい状態です。
切ったりんごの断面が時間とともに茶色くなるのと、同じ種類の反応です。染めた直後から数日かけて色が濃く、深くなっていきます。変化がいちばん大きいのは最初の2週間です。
このため、施術直後の色で仕上がりを判断することはできません。当店では、帰り道の鏡ではなく数日後の色で見ていただくようお願いしています。
髪の手ざわりは、どう変わるのか
色素が髪の表面に結びつくことで、毛髪にはり、こしを与えます。
走査電子顕微鏡でヘナ処理の前後を観察した研究では、毛髪の直径の実測値が増加し、キューティクルの浮き上がりが減少したことが報告されています。ただしこれは毛髪そのものが太くなったのではなく、表面のコーティングによる変化です。
手ざわりとしては、毛髪の水分と油分を補い保ち、しなやかな指通りに整えます。裂毛・切毛・枝毛を防ぎ、クシどおりをよくします。
一方で、施術の直後にきしみやごわつきを感じることがあります。これはヘナペーストの水分と酸性物質でキューティクルが一時的にふくらんでいるためで、ダメージではありません。数日から1週間ほどで戻ります。
ジアミンを使っていません
当店のヘナには、パラフェニレンジアミン(ジアミン)もアルカリ剤も入っていません。
一般的なヘアカラーは、酸化染料と過酸化水素、アルカリ剤の組み合わせで染めます。ヘナはこの仕組みを使いません。植物の色素がケラチンに結びつくだけです。
ただし、市販の「ヘナ」の中には、黒く染めるために酸化染料を加えた製品があります。2026年5月、国民生活センターがそうした製品による重いアレルギー症状の事例を発表しました。ご自宅でヘナをお使いの方は、成分表示をご確認ください。
100%植物由来でも、アレルギーが起きないわけではありません
ヘナはミソハギ科、インディゴはマメ科の植物です。植物にアレルギーのある方は、反応が出ることがあります。
「天然だから安全」とは言えません。当店では初めての方に、事前のパッチテストをおすすめしています。少量を塗り、直後と48時間後の状態を確認します。遅れて出るタイプの反応があるため、48時間後の確認が必要です。
同じ色に染まる日は、一日もありません
ヘナは農作物です。年ごと、収穫ごとに出来が違います。
収穫は年に一度、雨季が明けたあとの短い期間だけです。のんびりしていると葉が硬くなり、養分が花や実に移ってしまいます。だから開花前に刈り取ります。当店が使うのは、インド・ラジャスタン州ソジャットの、この新葉だけです。
産地、収穫の時期、収穫後の乾燥のしかたで、色素の含有量が変わります。ワインや茶葉と同じです。
インドには、ヘナパウダーの国家規格があります。インド規格局(BIS)の IS 11142:2023 で、純度によって3つの区分が設けられ、色素(ローソン)含有量の下限まで定められています。合成染料やパラフェニレンジアミンが混ざっていないかを調べる試験項目もあります。
それでも、毎年まったく同じ葉が届くわけではありません。だから当店では、その年の粉の状態を見ながら、水の温度と放置時間を決めています。同じ配合でも仕上がりが少し違うことがありますが、これは植物を使う以上、避けられないことです。
その日の葉と、お客様の髪に合わせて配合を決めるのが、認定ヘナリストの仕事です。
もっと詳しく知りたい方へ。



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